以前、取材させていただいたTerroir愛と胃袋さんの建物内にある『キネマたたみ』で、
映画の上映会があり、参加させてもらいました。
その映画は、
「いただきます ーみそをつくるこどもたちー」。
福岡県福岡市にある高取幼稚園で過ごす
子どもたちの姿を記録したドキュメンタリー映画です。
大根やお揚げ、豆腐やわかめがたくさん入った味噌汁。
刻み葱としらすを加え、ふわふわに仕上げた納豆。
圧力釜でふっくら炊き上げた、あずき入り玄米ごはん。
大豆と人参とひじきの煮物。
映画に出てくる料理は、どれも美味しそうで、
給食を心待ちにしている子どもと同じ気持ちになりました。
高取保育園の給食は、玄米、味噌汁、納豆などの伝統和食。
使う食材は、極力無農薬のものを使用し、
野菜や魚、穀物を中心とした温かい家庭料理のような給食を、
園で手作りしています。
子どもたちがキラキラした笑顔を見せながら、
夢中でもりもりごはんを食べてる姿がとても印象的でした。
中には、お皿を舐め回してしまう子がいたほど。
給食の時間は、あまり言葉が飛び交ったりぜず、
全身全霊を使って「美味しい!」と表現している子どもたちの姿だけで、
教室の中は、とても賑やかに見えていました。
「自分でつくったものは美味しい。」
食べることだけでなく、作ることも大切にしている園の「食育」。
毎日飲む味噌汁の味噌は、園で仕込んでいます。
その量は、毎月100キロ。
なんと、年長の園児たちのお仕事だそうです。
麦と米の麹に煮た大豆を入れ、手でよーく握りながら混ぜて、足で100回踏む。
みんな楽しそうに、嬉しそうに、心を込めて味噌を作ります。
その作り方を、毎年卒園前に一つ下の年中の園児に教えるそうです。
少しおどおどしながら味噌作りを習う年中の園児たちとは対象に、
年長の園児たちのテキパキとした頼もしい様子に、子どもたちの成長を感じました。
他には、漬物やおかずも自分たちで作っているそうです。
作ることへの楽しさが、画面いっぱいに溢れていました。
大きな納豆巻きを頬張りながら、「ネバネバだ」と嬉しそうにはしゃぐ女の子。
勢いよくお味噌汁を吸い続ける赤ちゃん。
床にトントンと足でリズムを取りながら食べる子どもたち。
口の周りいっぱいに、ごはんをくっ付けて、笑顔で「おいしい!」と叫ぶ姿。
気持ちの良い食べっぷりと、運ばれる空っぽになった食器の数々。
どれもが愛しい瞬間で、みんな生き生きと輝いて見えました。
全力で遊び、食べて、排泄して、寝る。
園に通う子どもたちの、ありのままの姿の映像に、
その元気の源が、すべてごはんにあると気付かされます。
「食べたものが、わたしになる」という映画のコピーの通り、
あぁ、こんなにシンプルなことだった・・・と心に沁みました。
日本人は、和食を食べる民族であることは、
遺伝子の解析でも証明されているそうですが、
そんなの知らなくても、一杯の味噌汁で心も体も喜ぶ私たち。
おにぎり一つで笑顔になれる私たち。
しっかりと体に刻まれています。
その喜びや嬉しさを、大切に後世に残していかなくてはいけません。
子育てが忙しくて食事を作ることが大変なお母さんやお父さんや、
アレルギーやアトピーで悩んでいる家族がいる人はもちろん、
たくさんの人に見てもらいたい映画です。
自主上映もいろいろな地域や場所で行われているそうなので、
ぜひ、探して足を運んでみてください。
映画『いただきます ーみそをつくる子どもたちー』
(2017年/75分/HD/16:9/日本/ドキュメンタリー)
公式サイト:http://itadakimasu-miso.jp/
ナレーション:石田ゆり子
出演:高取保育園の元気な子どもたち、保護者のみなさん、西福江(高取保育園園長)、小泉武夫、奥田昌子、木村泰子ほか
監督・撮影・編集:オオタヴィン
プロデューサー:安武信吾
エンディングテーマ:星めぐりの歌(作詞・作曲:宮澤賢治、歌:坂本美雨 with CANTUS )
挿入歌:いま 生きているということ(作詞:谷川俊太郎、作曲・歌:小室等)
製作:イーハトーヴスタジオ
配給・宣伝:メジロフィルムズ