日本では多少の差はあるものの夏も冬も朝には明るくなり、夜になるにつれて暗くなります。欧米ではその時間に幅が大きくあり、サマータイム制を取っている国が多いです。
決まった日になると全員1時間時計を早めたり、遅くしたりします。
馴染みがないので不思議なことですが、そうすることに寄ってできるだけ明るい時間に活動できるようにしています。
例えば昨日までは朝8時でも暗かったのに、時計を早めることに寄ってその日の8時は明るくなります。昨日まで9時の太陽がその日からは8時の太陽になります。
夏に近づくにつれて明るい時間が延びるので、そうしたら時計を元の時間に戻します。
こうして活動しやすい時間を調整しているのです。
しかし、北に行けば行くほどそれでも明るい時間が足りなくなってきます。
以前冬に北極圏に行ったことがあります。
その時は日の出が午前11時、日の入りは午後3時。明るい時間は4時間ちょっとという具合でした。
こうした場所にも毎年冬は訪れます。
明るい時間が短いと、気分が落ち込んでしまい自殺を考える人も多くなると聞いたことがありますが、実際体験してみると頷けます。特に私たちは家でゆっくりするという習慣がないので、暗くなり家に帰ると残りの一日の時間を、何をして過ごせばいいのかわからず退屈してしまうのです。
きっとその国に住む人も同じだと思います。
ではどんな工夫をして長い夜の時間を楽しんでいるのでしょうか。
灯りを楽しむ国
私がこの旅の最後に訪れたフィンランドは、北欧諸国の中でも特に北に位置する国です。
オーロラが見えたり、ムーミンが有名だったりしますが、町の人に聞いてみるとオーロラを見たことはなく、ムーミンもそれほど・・とのことでした。
さてそんなフィンランドの首都ヘルシンキ。小さな街ですが、大きな大学があったり、会社があったりと住んでいる人はほどよくいました。
みなさんアパートに住んでおり、夜は家でゆっくりする印象です。
アパートの部屋にカーテンがある家は少なく、家族で食事を楽しむ様子が窓越しに見えました。日本では恥ずかしいと感じることもありますが、この国ではそんなことはないようです。外は暗く寂しい感じがありますが、家族団欒の風景が街を明るくします。
部屋の照明は暗すぎず、明るくなりすぎない。
それぞれのお気に入りのペンダントライトが窓からのぞき、食卓を明るく照らしていました。暗く、長い冬だけれども家は暖かみのある灯りを灯し家族の時間を楽しんでいました。
食卓にはキャンドルを
食卓には決まってキャンドルが灯されていました。
フィンランドはキャンドル消費の多い国としても知られています。
花と同じように食卓にあるだけで、明るさはもちろんのこと、暖かさが生まれます。
ちょっとした空気の流れで揺れる炎。
見ているだけで気持ちが落ち着きます。
街中のアパートでは煙突が伸びている家は少なかったですが、郊外へ行けばきっと薪ストーブを囲んで長夜を楽しむのでしょう。
湖と森の国フィンランド
湖と森の国と呼ばれているこの国は、国土のほとんどが湖と森です。
人が住んでいる場所は本当に一部。
冬の日照時間が短い代わりに夏は日照時間が長いこの国は、夜の10時くらいまでくらくならない日もあります。
そんな時は家族で湖畔にある別荘で過ごしたり、森の中でベリーを摘み取りに行ったりと
自然の中で過ごす事が多いそうです。
フィンランドと言えばというほど有名なサウナ。
こちらでは夏でも冬でも楽しむそうですが、日本でいう温泉のような感じだと思います。
サウナの中でもコミュニケーションを楽しみ、健康のため、そしてリフレッシュもできる素敵な空間です。
国や地域に寄って異なる時間の楽しみ方
日本は島国でもあり、山にも囲まれた自然豊かな国です。
少し行けば山があり、山登りを楽しむことや季節の移り変わりを楽しむことができます。
また海にも囲まれており、マリンスポーツや海水浴など子供から大人まで幅広い年齢層で楽しめます。
四季がはっきりしており、一年中楽しめます。
私たちはとても恵まれている環境にいることを再度実感しました。
都会では住宅やお店が密集し、安心して遊べる公園なども少なくなってきており、ショッピングモールで休日を過ごす家族も少なくありません。
しかし、少し郊外に行けばいつでも楽しめる環境があります。
今回北欧の3か国を巡りましたが、その国の特徴に合わせて生活スタイルがあるのだと実感しました。
どれかがよく、どれかが悪いわけではなく他の人々の文化や生活を知ることに寄って、また新しい暮らし方が見えてくるかもしれません。
三回にわたって連載したヨーロッパの生活を伝える会も今回が最終回です。
寒い季節がやってきますが、他の国の人の暮らしにヒントを得て、ゆっくりと素敵な時間をお過ごしください。