中央前橋駅からほど近い、夜の街の真ん中に、自然食品店サンデールームがあります。
緑に囲まれた入り口に木製の建具がお似合いのお店です。
1時ごろにお伺いすると、OPENの看板にはその時期に旬だったにんにくが看板に引っかかって売られていました。
葉っぱの部分が編み込まれ、軒下に掛けられるようになっているそのにんにくは昨日まで農家さんの家の軒下にあったような形をしていました。
スーパーマーケットで見るニンニクと言えば、既に葉を落とし種の部分だけのものが大半です。
もう見なくなった光景に懐かしさを感じました。
2000年よりお店を始めたサンデールームさん。
始めはランチを提供していたそうです。
ランチを美味しく食べていただくのはもちろんなのですが、それを家に帰っても作って食べてほしい。
調味料一つを取っても、スーパーでは何種類も置いている。
なんでもそうだが、自分で選ぶ事で生活が変わればと思った。
そんな想いを込め食品店をはじめました、と案内してくださった福島さん。
実はこのお店は三姉妹がそれぞれの長所を生かしながらイベント企画、店舗運営をされています。
お店に置いているものは、他のお店よりは品数はすくないけれど、直接行って生産の過程を見たり、想いを聞いたりし、自分たちが自信を持って人にすすめられるものだけを置きました。
特にお野菜は地元の農家さんとの繋がりや、縁のある人のものを置いています。
他のスーパーはもちろんのこと、他の自然食品店より、暮らしにつながる食の出会いがある場所でありたいとのこと。
お店と言うよりはコミュニティースペースというのがお似合いの場所です。
ただいま店舗の2階が改修工事の真っただ中でした。
常に新しいことに挑戦していきたいというサンデールームさん。
改装中の場所も大まかにはこんな感じというイメージはあるが、考えながら進めていきたい。
ここは絶対にこうする。という考えがあると無理が出てきてしまうので、工事をしながらでもいいのではと考えているそうです。
2階にはちょっとしたカフェスペースと洋服など布ものを取り扱うスペースができる予定です。
1階だとお洋服の試着も躊躇してしまう。お客さんのことを考えての新たな挑戦です。
お野菜は季節や天候に寄って不作だったりB級品になってしまったりすることも。
少し形が悪かったり、成長しすぎでしまったりするものもあるが、美味しくいただけるものには変わりありません。
理由を伝えて少しお買い得にお客さまにお出ししたり、加工品にしてみたり。
やれることはたくさんあると思っています。
そしてお客さんにも自然の意味を知ってもらい、こういうこともある、それが自然のサイクルだと理解してもらうことも大切なことだと思っています。
暮らしの豊かさというのは、いろいろあるけれど、旬を知ることだったり、お店で並ぶきれいな形の野菜はごく一部であると知ったりすることもその中の一つなのでは。と福島さん。
自然栽培の野菜と普通の野菜の何が違うのかという質問もたくさんあります。
元々成長する過程で吸い上げている水が違います。
普通の肥料をあげている野菜は本来の野菜に味付けしているような感じ。
でも自然栽培の野菜はそれがないから、エグミがなく食べやすいそう。
野菜嫌いの子供も食べることができるのです、とよくお客さんからも聞いているとのことでした。
肥料を使った野菜が多く出回る中で、本来の野菜の味を忘れてしまいがちですが、本来の野菜の味を知ることは野菜嫌いを少なくすることかもしれません。
売っている一つ一つの野菜におすすめの料理方法が書いてありました。
自分たちのオススメもありますが、多くはお客さんが紹介してくれたもの。
「この前買った茄子、こんな感じでお料理したら、すごくおいしかったわよ。」
と、教えてくれるお客さんが多いのです。
またお客さんからの意見もあって、できるだけ量り売り、小売りで出すようにしています。
レジ横にある手作りのお菓子に合うようなお茶も1つづつ売っていました。
20個も入っていたら、口に合わなかったらどうしようと考えてしまいますが、1個だったらお試しで。
美味しかったら20個入りを買ってもらえばいい。少しでもハードルを低くして生活に取り入れやすくしていきたいというのもこのお店の考えの一つです。
お砂糖もお塩もお米も、おすすめのものしか取り扱っていないから、なおさら全部試してみて自分の好みのものを見つけてほしいです。今日の献立にはしっかりした白米が合いそうだから、少しだけ買っていこうというのでもよい。
少しだけを取り扱えるのも、お客さんの目線に立ち近い関係を築いているサンデールームさんならではです。
お野菜も袋に入っていると品物って感じ。もっと気軽に買えるといいなと思っています。
マイバックを持っている人が増えてきたけれど、うちは米櫃を持ってきてお米を買ってくれる人もいるんですよ。とのこと。
こうしたお店が増えていくと増々お料理も、お買い物も楽しくなりそうです。
お店に来るお客さんは年齢も性別もばらばら。
子供連れのお母さんもいますが、常連のおじいさんがマルシェ籠を持ってやってきたり、20代の若い男の人も常連さんでいらっしゃると聞いてびっくり。
以前は彼女さんの付き添いでくる若い男性はいました。
でも今は一人でいらっしゃる若い男性も多いです。おうちでお料理する方が増えたのかしら?
とっても嬉しいことです。
地域の自然食品店としてお野菜や調味料を売ることはもちろんのこと、それ以上に自分たちが食べるもの、身に着けるもの、手に取るものは誰が作ったどんなものなのかということを紹介してくれる存在であるサンデールームさん。
お店が広がり、これからどのように変化し広がっていくのかが増々楽しみです。
世間では暮らしの豊かさという言葉をよく聞くようになってきましたが、本当の豊かな暮らしとはどんなことなのだろうと改めて考える機会になりました。
みなさんも暮らしの豊かさをもう一度考えてみませんか?