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高崎駅から少し車を走らせました。
駅前は大きな商業施設を建設していたりと、都会な感じがありますが少し進むだけで住宅地へと
変化します。

住宅地の一角に赤い外壁が印象的な建物がありました。

こちらはオーガニック野菜や加工品、少しの生活雑貨を扱うBIOSKさんです。

大学で環境教育を勉強されていた店主の桜井さん。
学校の授業では排出される汚染物をどう処理するかというところに焦点を当てていたが、
そもそもどうして汚染物が発生してしまうのか。

出口ばかり見てないで入り口を見てみたい。
そして入り口から考えよう。

その思いを胸に飛行機に乗りドイツを目指しました。

ドイツは環境先進国。

有機農業を学びたくて訪れたドイツにて、オーガニックの浸透の度合いに驚かされたよう。

街の中にある教会で週に2回開催されているマルシェ。
水曜日はオーガニックのもの、土曜日はオーガニックだけではなくいろいろなものが売られていたそうです。

その頃の日本はオーガニックと言う言葉はもちろんのこと、有機野菜という言葉も聞こえてこない時代。
オーガニックのお買い物も、日本でいう通常サイズのスーパーマーケットと同じくらいのサイズのお店が
街のいたるところにあり、利用したことのない人がいないくらいみんなの意識が高かった。

そんな敷居の低いオーガニックな環境を日本でも目指したい。
強くそう思ったそうです。

ドイツにはワーキングホリデーという海外での職業体験で渡りました。

ドイツ、スイス、オーストリアに約100件ほどあるビオホテル。
そのうち約3分の1のホテルが有機農場を併設していました。
桜井さんはその有機農場で有機農業を学びます。

日本ではオーガニックという言葉すら聞かない時代ですので、もちろんビオホテルというのも全くもって
新しい響きでした。
日本でホテルと言ったら観光の合間に泊まる宿泊施設です。
でもドイツ諸国では、ゆっくりするための憩いの場所、1日や2日で出発する人はいません。
みんな1週間くらい滞在しながら思い思いの体験をします。

そんな場所で有機農業のノウハウを学びはじめました。
冬の間気温が低くなるドイツ。
気温が低いということは、土の中の微生物が活発でないということ。
だから有機肥料で土の力を蓄えます。
しかし日本は違います。
きっと有機肥料を使わずに、自然にある土の力で野菜が育つのではないか?
そう思い日本に帰国、そしてBIOSKを始めました。

この場所は自然食品店というより、直売所でありたいと思っています。
始めた当初は自然食品店として運営していました。
お野菜を置くことでいくらかお店分としてもお金をいただき、全て買取の方法を取っていました。
しかしもっと気軽に生活に取り入れてもらいたいと思い直売所の形にしました。

お店に卸してくれている農家さんたちと話をしているうちに、農家さんも作った野菜を100パーセント売ろうと考えているわけではないこと。80パーセントくらい売れればいいかなと思っているのであれば、
お互いのいい所で長く続けていきたい。

そう思い直売所としているとのこと。

確かにお店の野菜は、スーパーの野菜より少し背伸びをすれば手に届く価格でした。
お客さんとしてはすごく助かります。

今だけジャンプして買う野菜ではなく、少しの背伸びでずっと取り入れてもらいたい、と桜井さん。
そうしていかないと、ドイツで見てきた敷居の低いオーガニックを日本で実現できないのです。
ヨーロッパで流行った狂牛病でみんなの気持ちが変わったのがわかりました。
日本においても、そうしたきっかけがみんなの気持ちを変えることになると思います。

先日もお店の一部を拡張し、今ではカウンター席も含め多くの人がランチを楽しめる場所になりました。
お昼のランチプレートも人気です。
BIOSKブランドの加工品も種類が増えてきました。

これからは、今までやれてないことをやりたいと思っています。
たくさんあるんですが、野菜の細かい部分を伝えていきたいと思っています。

近くのスーパーで買うと80円の大根。
これがBIOSKだと180円。
この値段の差がなんなのか。
オーガニックというだけでなく、詳細な部分をみなさんに伝えていけたらと思っています。

そしてお野菜ハンターになりたいですね。
今は野菜を届けてもらって、加工して食べてもらうとか、売るとか。
そういったことがメインになってきているんですが、自分から外にでて人や野菜に出会う。
もっともっと食べてみたい野菜がたくさんあるんです。
そういったものに出会えるようにしていきたいです。

一般家庭でも普通にオーガニックの野菜が食卓に並ぶように。
そして有機農家さんの気持ちがみなさんに届くように。
そんな思いを持った直売所の桜井さんは、少し先にあるこれからの楽しみを笑顔で話してくれました。

畑と食卓をつなぐ直売所。
野菜についた産地だけでなく、栽培方法や生産者さんで選ぶ時代がすぐそこに来ています。

 

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